検診で再検査と言われた
胃がんリスク診断・ピロリ菌抗体検査
最近の胃がん研究によると、胃がんのほとんどがピロリ菌と、ピロリ菌によって荒らされた胃粘膜(萎縮粘膜、腸上皮化生)に発生することがわかってきました。ピロリ菌が胃の中にいるかいないか、胃の粘膜に萎縮があるかどうかを血液検査で見て、胃がんになり易さをABCDの4つにリスク分類することにより、胃がんリスクを調べる検査です。ただし、これは今現在胃がんがあるかないかが分かる検査ではないので、リスクが高いと診断されたら、一度胃カメラの検査をうけましょう。
胃バリウム検査
胃のバリウム検査は、レントゲンに写る造影剤であるバリウムを飲むことにより胃が白く写し出され、胃袋の内側の部分の盛り上がりや凹みを見て、ポリープやがん、潰瘍の有無を調べます。バリウム検査では病気の程度や、細胞の組織など詳しいことまでわかりません。また、バリウム検査の精度により検出できない病気もあります。胃カメラの検査は以前に比べて随分楽になりました。不安な方は鎮静して検査を受けることもできますので、ご相談ください。
大腸がん検診(便潜血陽性)
「便潜血反応」は便の中の見えない微量の血液を調べる検査です。大腸がんの表面は出血しやすく、便が大腸がんやポリープを通過するときに混じった血を検出します。しかし、毎回必ず出血するわけではありません。よく、検便のやり直しをして、「陰性」だったから精密検査を受けずに様子を見た、という方がいらっしゃいますが、「陽性」は明らかに異常、「陰性」でも安心できないというのがこの検査です。例えば、進行性の大腸がんがあったとしても、便鮮血反応の陽性率は60%程度です。したがって、1回でも「陽性」が出たら、きちんと大腸内視鏡検査を受ける必要があります。その他、痔からの出血や、胃潰瘍、十二指腸潰瘍からの出血でも陽性になることがありますが、不安を抱えながら過ごさず、一度ご相談ください。
便秘・下痢
ひとことで便秘・下痢といっても、人によって病態は様々です。
下痢
下痢は、食中毒やウイルス性胃腸炎などのように突然起こり、短期で治まる急性下痢と、3週間以上続く慢性下痢に分けられます。
急な下痢で一番心配なことは、激しい下痢によって脱水や電解質異常になることです。成人の一日に必要な水分摂取量は、約2.5リットルといわれていますが、そのうち食事で約1リットル摂取しており、自分の体内で作られる水分もあるので、新たに飲まなければいけない水分は、およそ1.2リットルになります。ところが、激しい下痢をしている場合、下痢により更に水分が失われ、食欲も無く、食事からの水分も摂れないとなると、飲まなければいけない水分は1日2.5リットル以上になります。一日に飲む量の目標を決め、経口補水液やスポーツドリンク(少し水で薄めて塩をわずかに溶かすとなお良い)などを常温で少しずつ摂取してください。食事は食べられなければ無理に摂らなくて良いですが、摂れるのであれば、消化吸収の良いお粥やよく煮込んだうどん、味噌汁や野菜スープ、りんごのすりおろしなどがおすすめです。ご心配な方はご相談ください。
慢性的な下痢で最近多く相談があるのが、過敏性腸症候群(IBS)という病気です。お腹の痛みや不快感、下痢や便秘などのお腹の症状が続き、生活に何らか支障をきたします。また、下痢や腹痛が続いていて過敏性腸症候群と診断されていた方が、実は炎症性腸疾患(潰腫性大腸炎、クローン病)だった。と言う場合があります。確定診断のために、大腸がんや炎症性腸疾患がないかを調べ、排便習慣の確認(排便日記帳記載)をして特徴をつかみ、生活習慣の見直しや症状に合わせた処方などで病気と上手に付き合って行けるようにしていきます。
便秘
まず便秘ですが、症状として、一週間に数回程度しか出ない、毎日出るけれど少量ですっきりしない、出る便がかたくてコロコロしている、お腹が痛い、はっている、また、何日も排便は無いけどお腹の症状は何も無い、など人それぞれです。
原因としては、食事が不規則であったり、食物繊維の摂取が少なかったり、水分不足や運動不足といった生活スタイルが原因となることもあります。また、糖尿病の薬や抗コレステロール薬、抗うつ薬、抗パーキンソン薬などの薬が原因となることもあります。そのほかにも、糖尿病や甲状腺機能低下症、うつ病、大腸がんなどの病気でも便秘を発症するケースもあります。便秘をしていても特に何の症状も無く、日常生活に全く問題がないのであればよいのですが、何か症状があり、苦痛や不快感があるのであれば、お越しいただき診察をした上で、ご自身に合ったお薬を処方いたします。また、便秘の原因で大腸がんが疑われる場合には、大腸内視鏡をおすすめしています。
胸焼けがする
現代の日本人は、昔に比べて脂っこい食事をしたり、常に何か小腹に入れるように食べていたり、夜遅く食べてそのまま眠ってしまったり…と、食事や生活スタイルの変化から逆流性食道炎が増えています。
逆流性食道炎は胃液などの胃の内容物が頻繁に食道に逆流することにより、いろいろな症状がでます。胸焼けや、酸っぱいものが込み上げてくる(というのが主な症状ですが、その他に、のどの違和感(イガイガ感やヒリヒリなど)や咳、胃の痛み、お腹のはり、げっぷといった症状もあります。食道や胃に癌や潰瘍が無いか、炎症はどの程度か、逆流しやすい形状ではないかなどを確認するために胃カメラの検査をおすすめしていますが、胃酸を抑えるお薬を飲んだり、ちょっとした生活改善で症状を抑えることが可能です。どうぞご相談ください。
おしりが痛い、できものがある
日本人の3人に1人は痔にかかっているといわれています。しかし、自覚症状がなかったり、恥ずかしくて人に言えない方も相当数いると思われますので、実際はさらに多いとされる身近な病気です。
一般的に「痔」と言われているものには、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(じろう)と肛門周囲膿瘍の3つがあります。
肛門周囲膿瘍
肛門の奥から細菌が入って肛門周囲が化膿したものです。痛みが強く、ひどくなると熱も出ますので切開が必要です。
痔瘻(じろう)
肛門内の小さなくぼみから入った細菌が肛門腺の中で化膿し、肛門の内と外がトンネル状につながって、皮膚の出口から膿が出るものをいいます。
裂肛
肛門が切れたものが裂肛です。硬い便の通過や肛門の無理な広がりによっておこります。
痔核
静脈の血流が悪くうっ血し、さらに静脈が拡張したものが痔核です。発生する場所により、内痔核と外痔核に分けられます。
いずれも、出血があったり、痛みがあったり、ひどくなると座ることもできない程つらい状況になります。症状が軽ければお薬で症状が改善されますが、ひどくなると手術が必要になります。気になる方は一度診察にいらしてください。必要があれば、肛門外科に紹介しています。